†君、男~Memory.. limit of grief~
「レイン!」


「?」


また恵を呼ぶ声が聞こえる。
一般の生徒、安井 燐(やすい りん)。
恵と中学からの知り合いで、
同じ水那高校を受験した人物。


元気よく制服を着飾り、
スキップで恵のところに向かってきた。


「探したよー。
 レインは2組だったよね?
 かっこいい先生じゃんか!
 羨ましいなー」


「燐は何組だっけ?」


「6組。女の先生だった」


二人は横一列に並び、
階段を下りていく。


門を出るまでにいろんな生徒が二人の横を通る。
その度に燐は目をキラキラさせていた。



「せっかくの共学なんだもん。
 彼氏作りたいなー…。
 レインもそう思わない?」


「まぁ…別にどうでもいいよ」


恵の発言は燐をつまらなくさせてしまった。
しかしそれはいつものこと。


静かに、学校生活が
始まろうとしていた―――
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