†君、男~Memory.. limit of grief~
「疲れる…」
自動販売機で買ったジュースを開け、
さっきの公園のベンチに腰を下ろす。
時刻も5時をまわっていた。
「レイン?」
「あっ燐」
買い物袋を両手に持ち、
燐は走って恵の方に向かってきた。
どうしたの?と笑顔で訊く。
「買い物の帰り」
「一人で?珍しいじゃん」
燐は横に座り、
鞄からペットボトルを取り出し飲み始める。
「燐…生徒会に入るなんて
1度も聞いてなかった。
あまりにも突然だな」
「ごめんね…夏休み始まる
直前に言われて。
でも、レインも入るんでしょ?
佐伯先生言ってたし」
「え?」
「知らない?佐伯先生
生徒会の先生でもあるんだって」
「 」
“ごめん…俺はもう
戻れないから”
貴方は私を…憎んでる。
誰よりも、私を憎んでる。
「うん…入るよ、生徒会」
「…雨が降るかもねー」
クスっと笑うその表面の裏は、
何を隠してるの?と尋ねる笑顔でもあった。