†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「あんたねー…」
8月下旬。
夏休みも終わりを迎えようと
した時のことだった。
恵の目の前にいるのは
宿題を必死にしている燐だ。
溜まっていた宿題を
一気にしていた。
呆れた恵はため息をつく。
「だっていろいろ忙しかったんだもん。
ホントごめん」
手を合わせて謝る燐だが、
恵は聞く耳を持たなかった。
「許してよー。
レインしか頼れる人いないんだもん。
ここまで完璧なのはないって」
必死で書き写す燐。
恵はとうとう欠伸をし始めた。
燐が恵の家に着てから2時間が経つ。
半分終わったぐらいといったところだろう。
「いつ終わんのよ」
「あと少しだから待って!」
そこから二人の会話はなくなった。
恵も暇になったのか、
横になる。時計の針の音が
部屋に響いていた…。