†君、男~Memory.. limit of grief~

水那高校に入学して
早一週間。
少しずつだが学校にも慣れ始めていた。



「レイン、次移動教室だよね?」


「うん」


『レイン』。その名前も
高校で愛着が着いてきた。
周りからニックネームの疑問が飛び交う。
それで恵は交流が増えていった。


男子までもがレインと言う名を
脳裏に入っている状態にある。
それほど珍しいものなのだろうか…。
恵も不信感を少し抱いていた。



「佐伯先生かっこいいよね~
 やっぱ彼女とかいるのかな」


朱音が訊く。
結菜は少し考えた後
答えを出した。


「いるんじゃない?」


「レインはどう思う?」


「えっ…さぁよく分かんないけど、
 いないと思う」


意見は分かれた。
朱音は考え出す。


「私の友達も 
 かっこいいって言ってた。
 しかも25歳だしね、
 若いよー」


「若いのは若いけど
 最終的には先生じゃん?
 うちはそんな発想はないね」


「…」


恵は二人の会話を
集中して聞いていた。


“先生”、それは大きな壁なのだろうか?
< 6 / 482 >

この作品をシェア

pagetop