†君、男~Memory.. limit of grief~
水那高校に入学して
早一週間。
少しずつだが学校にも慣れ始めていた。
「レイン、次移動教室だよね?」
「うん」
『レイン』。その名前も
高校で愛着が着いてきた。
周りからニックネームの疑問が飛び交う。
それで恵は交流が増えていった。
男子までもがレインと言う名を
脳裏に入っている状態にある。
それほど珍しいものなのだろうか…。
恵も不信感を少し抱いていた。
「佐伯先生かっこいいよね~
やっぱ彼女とかいるのかな」
朱音が訊く。
結菜は少し考えた後
答えを出した。
「いるんじゃない?」
「レインはどう思う?」
「えっ…さぁよく分かんないけど、
いないと思う」
意見は分かれた。
朱音は考え出す。
「私の友達も
かっこいいって言ってた。
しかも25歳だしね、
若いよー」
「若いのは若いけど
最終的には先生じゃん?
うちはそんな発想はないね」
「…」
恵は二人の会話を
集中して聞いていた。
“先生”、それは大きな壁なのだろうか?