†君、男~Memory.. limit of grief~
9月1日。2学期始業式が
始まる日、久しぶりに見る顔ぶれ。
門を通る人は眠たそうな人や
楽しそうな人それぞれだった。



「今年の生徒会長、
 一年って聞いた!?
 初めてじゃない?」


「えっ一年?
 ありえないでしょ」


「だって職員室で話してるの聞いたし。
 確か名前は…蒼井恵?」


「…?」


その会話を横で聞いていたのは
恵本人だった。




「どういうことだ!
 私が生徒会長なんて聞いてないぞ!」


職員室で怒鳴る恵。
もちろん怒る相手は優介だ。


「俺が決めたんじゃないんだから
 そこまで怒るな。決まったものは仕方ない」


「仕方ない?一年が
 なるものじゃないだろ」


「はいはい、とにかく体育館行きなさい」


無理やり話を終わらし、
職員室から追い出す優介。
外で待っていた燐は
苦笑いだった。


「そんな怒んないの。
 ホント生徒会の役員って
 誰が何になるか分かんないみたいだし。
 レインが会長に選ばれたのだって
 きっと何か理由があるはずだって」


「おかしいだろ?私の他に
 候補はいくらでもいるはず…」


「はい、その話し終わりー。
 今日は盛大に祝ってあげるから」


恵の背中を押し、
体育館に連れて行く。
もうすでに人はたくさん集まっていた。


燐と恵は前に行き、
2年の生徒会の横に並ぶ。
「並べたとこから座れ」と
舞台の上から聞こえてくる。


数分後、始業式は始まった。


校歌斉唱、校長の挨拶。
そして最後に生徒会の役員を
発表する時がきた。


恵達は舞台に上がり、
校長の前に横一列に並ぶ。
さきほど先生の支持で順番を言われ、
真ん中は会長の恵だった。
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