†君、男~Memory.. limit of grief~





「いよいよ校内祭だな」


朱鷺は手を強く握り締め
舞台の端で燐と一緒にいた。


「ところで蒼井って
 ちゃんと歌えるのかよ。
 練習の時一度も歌わなかったし」


そう・・・。恵は打ち合わせの時
一度も歌わずに終わってしまっているのだ。
だから誰も恵の歌を聴いていないことになる。


「大丈夫大丈夫。
 レインがミスるわけないでしょー」


肩をバンバン叩き、
燐はケラケラ笑う。


「まぁ校内祭だけしか
 歌わないっていうのはもったいない」


そう燐が呟いたと同時に
司会の人が出てくる。
体育館はいっせいに盛り上がる。


劇やダンス、さまざまな
パフォーマンスが繰り広げられ、
体育館はさらに盛り上がった。


生徒会の演技は最後だ。
前半演技が終わったところで
恵達は準備に取り掛かる。



「みんな頑張れよー」


横で応援するのは優介。


「先生、成功したら何か
 おごってくださいよ」


そう慎は言い、
みんなの気持ちを和らげていた。


「レイン頑張ろうね!」


恵の肩を叩く燐。
フルートを持っていた。


中学の時吹奏楽部だった燐は、
フルートを扱っていたため
今回もフルートをすることになった。


「万里ちゃんも上で応援してるから」


照明担当の万里。
二人に向かって大きく手を振る。


「それでは次はいよいよ
 生徒会さん達によるライブでーす!!」


大声で叫ぶ司会。
客席も一気に盛り上がった。



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