†君、男~Memory.. limit of grief~


燐が気づいている…?



そんなことあるわけない。





「やっぱりここか」


恵が向かった場所は屋上。
いつものように優介はいた。


「聴いただろ?私は罪に塗れてる。
 見つけることが罰だと思ってるからだ」


「…分かってやってるんだろ?」


「私が分からないとでも?
 優兄…私が憎いか?」


恵の声は何故か響いた。
まだ一度も優介は恵を見ていない。


「何でもっと…壊さない?
 そうすれば離れていくことぐらい
 分かってたはずだろう?
 ずっとチャンスはあったはず」


「…俺だってレインと同じように
 罪に塗れた人間だ。
 同じ人間を憎んでも、壊せはしない」



「やめて…よ。
 そんなの聞きたくない」


1歩1歩下がり始める恵。
優介はようやく振り返り恵を見た。


「そんな思い私だけで十分だ!」




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