†君、男~Memory.. limit of grief~



「佐伯先生、どうしました?」


「え?」


「いや、深いため息ついてらっしゃるから」


校内祭が終わり、7時過ぎ。
明日のことでまだ残っていた優介。


目の前には書類の山。
ため息をつくのも無理はないか、
と横で笑う先生だったが、
優介はそれで悩んでいるのではない。


「ちょっといろいろありまして」


「深刻な悩みなんですか?」


「まぁ…」


遠くの方を見て考え始める優介。
疲れきっていた。


「たまには休みも必要ですよ。
 最近忙しかったですし」


「そうですね」


その場を簡単にやり過ごし、
優介は鞄の中から
一枚の写真を取り出した。



レイン―――…



全部が全部お前のせいじゃない。
俺だってお前を突き放した。


それなのに、何で俺が
レインを憎む―――…



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