†君、男~Memory.. limit of grief~





一般祭当日。
朝から慌しい生徒会。
それぞれ自分の持ち場に向かっていた。
受付の燐と朱鷺は早くもお疲れ。


「安井、何か暗いぞ」


さっきからずーっと
落ち込んでいるように見える燐。
さすがの朱鷺も気づいたようだ。


「ちょっと悩み事ー…。
 あんな姿、初めて見た」


「誰の?」


レインの。などとは口には出来ず、
燐はまた落ち込んだようになる。


「燐、どうした?」


「レイン!」


突然恵の顔が目の前にあるのに
驚いた燐は飛び上がってしまう。
みんな唖然だ。


「どっどうしたの?」


「私と都宮先輩昼から受付だから
 何か欲しい物あるならもってくるけど、
 何かいるか?」


「あ…何でもいいよ。」


「分かった」


少し微笑む恵。
すぐ恵と慎は別のところへ行ってしまった。


行った後、その場にしゃがみ込んだ燐は
空を見上げて呟いた。


「どうしちゃったんだろ―…」





「気になってたことがあるんだけど、
 昨日泣いたりした?」


「えっ…?」


「いや、最初会った時少し腫れてたから。
 今はなんともないけど」


固まったまま恵は動かない。


「よく…分かりましたね」


笑って慎は言う。
「間違ってたらどうしようかと思った」


「ずっと、引きずことなんて
 馬鹿らしいと思っても…
 消えないんです」


「消えなくてもいいんじゃないかな。
 消えないってことは、
 まだ吹っ切れてないって事だろ?」


「…ホント、よく分かってますね」


「会長の悩みは俺の問題でもありますから。
 だから、一人で抱え込むな」



笑って、普通にいられる時って



来るのかな―――…




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