†君、男~Memory.. limit of grief~



もう優しくは出来ない。


駄目だと分かっていても、
無理して憎まなければ
きっとレインは苦しむ。



―――…壊せばいい。





「結構これ美味しいね」


「だろ?お勧め」


恵が食べているのはじゃがバター。
燐の分も買って食べながら廊下を
歩いていたところだった。


「あっ佐伯先生だ。
 ごめん、先燐のとこ行ってて。
 私少し用があるから」


「OK」


階段で二人は別れ、
恵は走って優介のところに向かった。
名前を呼んだ後、優介は一度振り返って
また歩き出す。


「佐伯先生?」


再び呼ぶが少し怒った口調で
「何だ?」と言う返事が返ってきて
ビクッと身震いする。


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