†君、男~Memory.. limit of grief~


―何か、怒らすようなことした?



「えっと…この後の事なんですが」


「あぁ」


戸惑いながらも恵は
係りについて話を聞き、
全て話が終わった後
恵は気になっていたことを
思い切って訊いてみた。


「私、何か怒らすようなこと
 しましたか?」


「別に何もしてない」


「そう…。なら行きます。
 あっちょっと待ってください…ごみが」


優介の眼鏡に手を伸ばした瞬間だった。
恵の手を振り払う音が
廊下に響いた…。


さいわい店がない場所だったため
誰にも見られてはいなかったが、
恵は唖然と立ちすくむ。


すると優介は
恵の目を見ることなく、
けれどハッキリと聞こえるように言う。



「触るな」



「      」




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