†君、男~Memory.. limit of grief~
揺れ動く恋心
私はその日、
ずっと放心状態だった。
文化祭が終わった後にあった
生徒会の打ち上げにも
私は顔を出すことなく
家に帰り、電気も点けず
別途に倒れこんだ。
何度も携帯が光、
ディスプレイには燐や万里、
都宮先輩の名前が表示されていた。
電話の着信音も鳴ったが、
一度も携帯を手にすることはなかった。
動くことが出来なかったのも
あったかもしれない。
脳裏には何度も何度も
同じ言葉が繰り返されていた。
“触るな”
これが貴方の本音?
諦めれば済むことなのに…
どうしてこんなにも好きだと
思わなければいけない。
どうしてこんなにも人を
愛おしいと思わなければいけない。
好きだと、何故…
どうして手にしなければならない――
散って行く、枯れ果てる心さえ
手にしたい――…