†君、男~Memory.. limit of grief~
“触るな”
その言葉を発したとき、
レインの表情は今までに見たことのない
絶望した姿だった。
これでいい。
俺を嫌えばいい。
そして何気なく接せれたら
それで解決する。
レインも、重い感情を背負うことなく
普通に生活が出来るんだ。
「蒼井は来てないのか?」
「そーなんですよ。
何度電話しても繋がらなくて」
万里は携帯を優介に見せ確認させる。
そうか、と呟き椅子に座った。
燐や慎も繋がらないと口々に言い、
不安は積もっていた。
「何かあったのかなー?
元気なかったし」
「…」
生徒会室には
重い空気が流れていた。
ふと燐はあることを口にする。
「そういえば受付の時も
様子が変だった」
「先生何か知ってますか?
最後にあったの多分先生だと思うし」
慎の質問は優介を我に返させた。
自分のせいだ…と。
「いや、いつもと変わらなかったよ」
「何か会長がいないと
しっくりきませんね」
千佳の一言はみんなをますます
不安へと導いていた。