†君、男~Memory.. limit of grief~
「めぐちゃん、昨日から一歩も部屋から
出てないけど大丈夫?」
その頃恵は帰った後ずーっと
部屋で寝ていた。
ご飯も食べにこず、さすがに心配になったのだろう。
朝の9時過ぎ、ドアをノックするが
返事は返ってこなかった。
「何かあったの?
せめて顔だけでもだしてちょうだい」
もう一度ノックをして数秒後、
ゆっくりドアが開く。
そこにはふらふらの恵の姿があった。
「めぐちゃん!?」
恵の意識は遠のいていき、
その場に倒れこんでしまう。
慌てて体をさするがびくともしない。
それどころか恵の体は熱かった。
「ちょっと熱あるんじゃないの!?」
「大丈夫…何でもないから
ほっといて」
「けど…!」
「私のことはほっといて!!」
バン!と強くドアを閉め、
そのまま別途に倒れこむ。
息を荒くし、汗をかいていた。
優兄…
貴方は私をこれ以上
近づけさせないために壊してる。
私はそれに答えなければ
いけないの?
―――…私の想いは
そんな簡単に壊れるものだった?
好きだったでしょ?
ずっと、あの頃から…
そんな簡単なものじゃない。
…なのに
“触るな”
『何でもっと…壊さない?
そうすれば離れていくことぐらい
分かってたはずだろう?』
簡単なはずないのに、
どうして、涙が出ないのだろうか――…
私はその意味が、
分からなかった。