†君、男~Memory.. limit of grief~






「レイン!誕生日おめでてとー!」


朝、恵が学校に登校し
教室に入った瞬間の出来事であった。
恵に差し出されたおしゃれな箱。
それは朱音と結菜からの誕生日プレゼントだった。


12月12日。
それはレインの誕生日である。


「レインも16歳ですかぁ。
 うち等と同じだねー」


「それ、私等二人で買った物
 なんだよー。家帰った後見てね」


「ありがと…」


嬉しそうに微笑む恵。
二人も嬉しそうだった。


「よかった、笑ってくれて」


「え?」


「だってレイン最近全然
 元気なかったんだもん。
 だから心配してたの」


朱音はそう言い、恵の反応を伺う。
恵は俯き「ありがとう」と一言呟いた。



文化祭が終わってからというもの
恵は魂が入っていないかのように
元気がなく、朱音達も心配していた。


生徒会に顔を出す機会も減り、
燐や他の役員も心配し始めていた。



自分の気持ちに不安を
持ち始めてしまったのだろうか…。


事情を知らないみんなは
何を悩んでいるのか
まったく分からず、相談に乗ることさえ
出来なかったのだ。




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