†君、男~Memory.. limit of grief~
文化祭から約1ヵ月半が経ち、
今でも恵の心の中は
モヤが幾つも残っていた。
「レイン、今日一緒に帰れる?」
昼休み、昼食を終え、
朱音は訊いてみる。
「ごめん…今日やることがあって」
「そっか…しかたないねー」
落ち込む朱音。
暗い空気が流れ込んできた。
ごめん…
文化祭が終わってからも
私はずっとさ迷い続けていた。
優兄の姿を見るたびに
心が透いていく。
けれど何故か優兄の表情が
以前より変わっていることが
気がかりだった。
私が今まで思っていた感情は、
どういうものだったのか。
分からなくなってきている。
こんなはずじゃなかった。
壊れない自身はあったのに…
時を経て、私の気持ちが
揺らいでいると言うのか?