†君、男~Memory.. limit of grief~
「レーイン!」
「…燐?」
あっという間に放課後になり、
いつものように中庭のベンチで
座って、今日は絵を描いていた恵。
後ろから燐が顔を出してきた。
「こんな寒いのに絵ですか?お嬢さん」
「クリスマスまでには
完成させようと思って」
「どんな絵描いてんの?」
「この中庭をバックに、
夜空に降る雪を描こうと」
「すごっ!完成したら見せてね。
あっ…これ誕生日おめでとう」
そう言ってプレゼントを取り出し差し出す。
「ありがと」
「…最近、いつものレインに
戻ってきた気がする」
燐はニコッと笑い
中央に向かってジャンプする。
着地した後バランスをとり、
恵みの方に体を向けた。
「レイン、今好きな人いる?」
「は?何だ急に」
「だって最近レイン様子変!
…っていうのは半分嘘。
ホントは高校入ってから変だと思ってた」
「 」
燐…。
「私、レインの為だったら
何だってするよ?それだけ分かって」
強く鋭い目。本気だ。
燐は走り去ってしまった。
残された恵はベンチに深くもたれ、
絵を見つめた。
レイン―――…
レインが悩んでるなら
私は何だってする。
だって、今の私がいるのは
レインがいてくれたから。
だから…迷わないで。