†君、男~Memory.. limit of grief~
「あれ、まだレイン来てないの?」
「そーなんですよ」
生徒会室に入ってきた慎。
12月20日。無事に終業式も終わり、
一般生徒は返っていく中、
生徒会はまだ仕事が残っていた。
「多分中庭だと思いますけど」
「中庭?」首を傾げ再び訊く。
「クリスマスまでに完成させたい絵が
あるみたいで、それ描いてると思います」
燐は成績表をボーっと見つめながら
答えを返す。慎はため息をついて腰を下ろした。
「最近どうしちゃんだろーねレインは。
ところで他の人等は?」
実は生徒会室にはまだ
慎と燐の二人だけしか来ていなかったのだ。
しんみりとした空気は冷たい。
「有間先輩と森川先輩以外は
お昼買いに行ってます。
お二人は用事で変えられましたー」
どんどん沈んでいく燐。
慎はその姿を見て苦笑いし
燐の成績表を取り上げた。
「学年36位かー…」
「1学期より下がっちゃって。
他にもいろいろ悩みはあるもんですよ」
「何の悩み?」
「それが…」
ガラッ。
ドアの開く音と同時に
二人は何故か固まってしまう。
入ってきたのは恵だった。