†君、男~Memory.. limit of grief~


「何だ?」


まじまじと見つめている二人。
恵は不思議に思うも席に着く。


「レイン!
 …絵は完成した?」


「後少しで完成。
 今日で完成させようと思ったけど
 時間がなかった…」


「そっそう……レイン?」


燐は顔を近づける。
恵はしわを寄せて「何?」と尋ねる。
その直後燐は恵の肩を強く握り締めた。


「何があったの?」


「安井どうした?」


「何か隠してるでしょ?
 だってレイン泣いてるじゃんか!」


慎は恵の顔を見る。
けれど泣いてはいなかった。

 
「ねぇ!何があったか教えて。
 こんなレイン…見たことないよ」


「…ッ!」


「レイン!?」


恵は燐の振り払い
生徒会室から飛び出していった。
慎はポカンと今の状況が理解できていない。
「一体どうしたんだ?」と燐に訊くが、
燐は泣いていた。


「あんなレイン見たことない…。
 すごい悲しい顔してる…ッ
 私には分かるの!レインが…
 レインが泣いてる!」


その場に膝を突き、叫ぶように泣く燐。
まるで恐怖を味わったような、怯えた目をしていた。
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