†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
終業式が終わり、
私はHR終了後優兄に呼ばれた。
屋上に呼ばれた私は
急いで向かって、どうしても
優兄の声が聞きたかった。
「一体何?」
「…もう探すな」
「―――…そんな言葉なら
聞くつもりはない。帰る」
「俺が文化祭で言った言葉、
気にしてるだろ?」
扉に手をかけた動きが止まる。
ゆっくり振り返った。
「触るなって言われて、
どんな気持ちになった?
…俺はこれ以上レインの
悲しむ顔を見たくないだけだ。
辛いことぐらい分かるだろ?」
「人のやることに口出しするのか?」
風が強く吹き始める。
優介は恵みの方に体を向けた時、
逆風が来て恵は目を閉じてしまった。
「…!」
今、何て―――…
風のせいでハッキリと聞こえなかった
優介の声。恵は目を見開く。
「レインは最初から、
俺のことを探してなんていない」
「 」
「ただ自分を隠しているだけだ。
偽りなんだよ」