†君、男~Memory.. limit of grief~








終業式が終わり、
私はHR終了後優兄に呼ばれた。


屋上に呼ばれた私は
急いで向かって、どうしても
優兄の声が聞きたかった。



「一体何?」


「…もう探すな」


「―――…そんな言葉なら
 聞くつもりはない。帰る」


「俺が文化祭で言った言葉、
 気にしてるだろ?」


扉に手をかけた動きが止まる。
ゆっくり振り返った。


「触るなって言われて、
 どんな気持ちになった?
 …俺はこれ以上レインの
 悲しむ顔を見たくないだけだ。
 辛いことぐらい分かるだろ?」


「人のやることに口出しするのか?」


風が強く吹き始める。
優介は恵みの方に体を向けた時、
逆風が来て恵は目を閉じてしまった。


「…!」



今、何て―――…


風のせいでハッキリと聞こえなかった
優介の声。恵は目を見開く。


「レインは最初から、
 俺のことを探してなんていない」


「      」


「ただ自分を隠しているだけだ。
 偽りなんだよ」


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