一番星
私が考え込んでうなっていると聖ちゃんが立ち止まった。


「ついたよ。」

聖ちゃんの声に顔を上げると懐かしい場所が目の前にあった。


「・・・・・・公園。
 あの公園だ!!」

「おっ正解~」

「当然!!
 しばらく来てなかったけどね~
 それよかあの道通ったの何年ぶり!?」

「10年くらいじゃね?」

そっか・・・

あれから約10年か・・・

私もよく幼稚園の頃通った道を覚えてたなぁ。

聖ちゃんと毎日手を繋いで歩いてた道を。


「ブランコ乗らねぇ?」

私は首を縦に振ってブランコめがけて突進。

でも遠くから見たブランコと違って近くで見ると小さい。

座ることぐらいしか出来ない。


「聖ちゃん・・・
 ブランコちっちゃい。」

「いいから座って!」

聖ちゃんは私をブランコに座らせて自分は隣のブランコに座った。

聖ちゃんが座るとブランコがよけいに小さく見えた。

思わず笑うと頭にチョップをくらった。

文句を言おうと聖ちゃんを見るとどこか遠くを見つめていた。


「聖・・・ちゃん?」

「なぁ泉。
 聞いて欲しいことがある・・・」

そう言った聖ちゃんは今までに見たことのない真剣な表情をしていた。


「......うん。」

私の返事に聖ちゃんは『ありがとう。』って優しい顔で言った。




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