幸せのカタチ~赤い宝物~
綺麗に整備されたピッチ
鮮やかなグリーンに、白いライン
そこにサッカーボールが転がって、パスをしながら端から端までボールを運んで行く。
その中に彰もいる。
みんなは赤×黒のユニホーム。
彰は1人目立つ上下黒いユニ。
練習用の青いユニに見慣れてるから、黒はやたらと大人っぽく見える。
「そろそろ始まるね。」
「うん…。」
時計を見ると試合開始5分前。
選手は自分達のベンチに集まり、コーチを中心にして集合して話を聞いてる。
ドキドキする。
試合直前のこの時間って。
あの時部活やめなかったら、今違う子が居るあのマネの立ってる所に私が居たのにな。
一番近くで応援できたのに。
やっぱりやめなかったら良かったかも。
今さらそう思っても仕方ないけど…。
今はここからこっそり
彰を応援するしか出来ないけど。
ちゃんと見るよ
彰の中学最後の試合…。
両チーム、エンジンを組んで士気をあげる。
それぞれのポディションに配置に付いて
黄色のユニの相手選手の2人が中央の円に入る。
レフリーが試合開始の合図を告げるホイッスルが
ピッチに響く。