幸せのカタチ~赤い宝物~
エスカレーターを降りた杉原は、澄した顔して私達の横を通ってホームの奥に進んで行った。
それだけなのに、何でこんなに後味の悪い気持ちになるんだろう。
「でもさぁ、溝口先輩は杉原とはヨリ戻してないんだよねぇ?」
「え?」
「なんか、私が思ってただけなんだけど…
クリスマスの時とか、流れてた噂とかって杉原の作戦な気がするんだよね。」
電車に乗って遠くなる競技場を見ながら、友來が静かに喋りだした。
「作戦…だったとしても、彰が杉原と一緒に居たのとかはウソじゃ無いじゃん?」
「だからそれが、そう思わさすのが作戦ってゆうか、罠みたいな?」
「でも、罠にかかる彰が悪いよね。」
「愛果、違うよ。」
私が呆れたように言うと、友來はもっと呆れた様にため息を吐きながら言う。
「溝口先輩じゃなくて、愛果が罠にかかってる…と思う。」
―――私?
「杉原の狙いは、愛果の気持ちを離れさせる事だったんじゃないかな?って。」
―――えぇ??
ハテナ顔で首を横に傾けたまま、続く友來の推理を私は聞く。