幸せのカタチ~赤い宝物~



階段の影から窓の方を見ると青野さんは外を眺めてる。


嬉しそうな穏やかな笑顔で。

そこの窓からはテニスコートがよく見えるって私も知ってる。


あの場所から私も友來とテニス部の練習を見た事があるから判る。



伊原君をみてるんだ。



やっぱり私はこの笑顔を見るとイライラする。



余計にイラっとする。



あの子はもぅ一杯持ってるのに



私の場所まで奪って



何も知らずに、あんな笑顔を振りまいてる



どんだけ不平等なんだろう



そんな事を思いながら、静かに階段を降りて教室に戻った。



彰の部活は今日は5時までってメールが来た。


終わったら階段の下に来てってメールした。


テニス部の練習は6時まで。


どうやったら、あの笑顔を見せなくなるか



考えていた。



教室の窓の外に広がる、澄み渡る空とは対照的に


私の心が暗く真っ暗になっていく



むしろ私の心が綺麗に澄んでいたのは、いつまでだったのかを思い出す方が難しい位



いつも真っ黒な気がする。




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