幸せのカタチ~赤い宝物~
日が傾きかけた頃
彰が教室に来た。
「部活…終わった…。」
声のした方を見ると、青いジャージ姿の彰が立っていた。
彰はちょっと複雑そうな顔してる。
時計を見ると5時半
青野さんもそろそろ帰る頃だろう。
「つーか、俺何すれば言い訳?」
教室の入口に寄り掛かって、立ったまま静かに言う彰。
傾けた太陽の光が彰の顔を優しく照らして、何か大人びて見える。
そんな彰の姿を見て、ドキドキなり出す鼓動。
「キス…」
思わず言ったその言葉に思わず、自分でびっくりする…。
私に近付いてくる彰
慌てて言葉を足す。
「あ…青野真瑠にキスして…。」
ピタッと彰は足を止めた。
そして少し哀しそうに笑う。
「…分かったよ。
それで愛果は、信じてくれんだな?」
「……ぅん。」
返事をするのが、やっとだった。
どれくらいお互いに無言だったんだろう?
暫くして、彰は無言のまま教室を出て行った。