幸せのカタチ~赤い宝物~
止めなきゃ!
そう思って階段の近くまで行くと彰の声が聞えた。
私は息を殺して、静かに近付いた。
「あんた昼間っから、路上で男と抱き合ってたんだって?
純情そうな顔してよくやるね。
そんな表情で、男たぶらかしてるんだろ?
見掛けによらないな、女って。
俺にもして見ろよ?
出来るんだろ?
みんなお前の事そう言ってんぞ?」
恐る恐る覗き込むと、青野さんの頬に触れてた彰の指が、唇をなぞって顎を掴んだ所だった。
彰の言ってた事は、青野さんが伊原くんとデートして居た日に見た子が一杯居て
噂になった事だ。
…彰も知ってたんだ。
何で私が青野真瑠って言ったのか、きっと彰は判ってるんだろうな…。
恥ずかしくて顔に血が昇る。
けど今はそんな事言ってる場合じゃない。
彰の唇が青野さんの唇に近付いていく…
ダメ…
っていうか、イヤだ!!
どうしよう…
どうしたら………