幸せのカタチ~赤い宝物~


暫く険しい顔のまま、下を向いて黙って考え込んでた伊原君。


1人頷いて顔を上げて私をみた。



「相田のした事は許せないよ?
自分が辛いからって、していい事と悪い事があるし
だからって人を傷付けてよくないよな?
もぅ分かってると思うけど…。」



伊原君はそう言って私を見る。

私は『うん』と頷く事しか出来ない。



居心地の悪い沈黙が続く
俯いたまま顔が上げられない。

暫くして、また伊原君から口を開いた。



「…でも、相田は自分の間違いに気付いたんだから、いいんじゃん?
許す許さないは、俺が決める事ないし。
俺は俺が出来る事をするよ。
相田も自分の事を正直に頑張れよ。」



伊原君はそう言って、一瞬顔を緩ませて



「言ってくれて、ありがとな。」



そう言って教室を出て行った。

パシャンと閉まる教室のドア。


伊原君の足音が聞えなくなるまで泣いちゃダメだ


自分に言聞かせるけど


ドアが閉まったのと同時に涙が溢れ出す。



心が軽くなる


何でだろう…


涙がこぼれる度に
心が軽くなっていく


あと10分…それだけ泣いたら


ちゃんと前に進むんだ。




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