幸せのカタチ~赤い宝物~
呼止めた私を青野さんは、驚いて見てる。
「青野さん…。
私…ごめんね…。
あの時の事本当にごめん。
許してくれるとは思って無いけど…今更だけど。
ごめんね…。」
暫く黙ったままの青野さん。
何て言われるかな?
許してくれなくて当然だけど、お互いの為にも謝らない訳にいかない。
「うん。
もぅ大丈夫…。
じゃあ…元気でね。
バイバイ。」
恐る恐る返事を待っていた私に、青野さんは意外にあまりにあっけなく、硬かった表情を和らげて私に言う。
絶対に許して貰えないと思った。
許してくれた訳じゃ無いかもしれないけど、表情が"もぅいいよ"って言ってくれてた。
「バイバイ。
ありがとう。
青野さんも元気でね…。」
歩き出した青野さんの背中を見送る。
私がバイバイって言うと、青野さんは一度振り返って、笑顔を向けてくれた。
私はそれが嬉しくて、泣きそうなのを我慢しながら、手を振って見送った。
心の蟠りがとれて、門をくぐる。
道の先に2人並んで歩く人影。
伊原君と青野さんの後ろ姿。
良かった…。
2人を見て、今思うのはそれだけだった。