幸せのカタチ~赤い宝物~
「…虹。」
学校の屋上から見えたのは、虹。
それも極上の。
珍しく雲一つないキレーな青空に、端から端まで架かってる。
丸み掛かった地平線上に建つビルとビルを繋げているみたいに、途切れる事無く架かっていた。
思わず見入ってしまう。
「凄いキレィ…。」
私が言うと、先輩は満足そうに笑ってる。
「喜んでくれて良かった。」
そう言って屋上の床に腰を下ろした。
先輩も虹を見上げてる。
もしかして…
この虹を私に見せる為…?
先輩の顔をマジマジと見ていたら、先輩がこっちを向いた。
私は焦って視線をそらした。
「みとれてたっ?」
「別にっ…。」
「なんだよ~見るならもっとイイ顔しときゃ良かったよ。
例えばこんな顔とか?」
そう言って先輩は変顔をした。
……っぶ
思わず笑っちゃった。
「やっと笑った。
愛果はやっぱり、笑ってる方がいいよ。」
――ドキッ…
先輩は笑って言う。
しかも爽やかに。
だから不意に一瞬ドキッっと胸がなってしまった。
濃い顔のくせに。
そんな風に笑わないでよ。