幸せのカタチ~赤い宝物~
VS先輩
―9月後半…
街の景色はスッキリ秋
街路樹の木から離れ落ちた葉が、カサカサ音をたて始めた。
学校の制服も、半袖から入学した時と同じ長袖の物に変り始める。
「ねぇ、友來どうなの?」
「何がぁ?」
「阿部くんと?」
「う~ん…微妙な位置。」
「そつかぁ…。」
私達、今日は養護の先生が居ないのをイイ事にお昼休みを利用して保健室のベッドでお昼寝中…。
「愛果はどうなのョ?」
「何が?」
「溝口先輩?
…と、伊原君??」
私はびっくりして、ガバッと勢い良く起き上がる。
友來の口から伊原君の名前が出てきて。
「何驚いてるのョ?」
「何で伊原君…?」
「だって愛果この前、キラキラオーラにやられてたじゃん。」
「そ…そんな事ナイヨ。」
私はまたベッドに仰向けになって寝転がる。
「つーか、先輩は否定しないよね?」
「そんな事ナイヨ。」
「明日の大会、一緒に見に行って上げるからね…。」
「……うん。」
私の小さな返事を最後に、私達は浅い眠りに落ちた。