幸せのカタチ~赤い宝物~
私達が会場に戻ると試合開始5分前。
選手達はピッチでのアップを終えてポジションに着く所。
開始合図のホイッスルが鳴響き、いよいよキックオフ。
両チーム初盤はお互いに様子を見ながらボールをキープ
次第に激しくなる競合い
相手ゴールにさほど遠くない場所で、相手がパスミスをした
ウチの選手がすかさずボールを奪い、ゴール近くに居る選手にパスを出す
2年の新エースの藤川先輩が、アシストを受けてゴールに向ってボールを蹴った。
アーチを描いてゴールに近付く
ディフェンスの横を抜けてキーパーの指を霞めて、吸い込まれる様に左上コーナー付近にボールが入った。
ゴールネットが揺れて、会場がワーッという声に包まれ、みんなが藤川先輩の元に集まる。
藤川先輩が溝口先輩にガッツポーズを見せると、溝口先輩は笑顔で答えた。
その笑顔は、フィールドのグリーンによく映えて別人みたい。
ウチが優勢のまま後半に入り、両チームとも必死の攻防。
何度が先輩の守るゴールに、シュートが撃たれたけど
先輩はことごとくボールを弾いた。
私と友來はその度に緊張して、ボールの行く先を目で追った。