幸せのカタチ~赤い宝物~
後半戦も準決勝らしい、激しい攻防戦が繰り広げられている。
気が付くとコートから少し離れて見ている私と友來でさえも、思わず声に出して応援していた。
試合終了まで、後30秒の時だった
ピピッ
相手選手からボールを取ろうとしたディフェンスが、ペナルティーエリア内でホイッスルを吹かれた。
…PKだ。
会場内がざわつく。
「大丈夫かなぁ…。」
友來も不安そうにピッチを見てる。
私も不安と緊張で、身体が強張ってる。
大丈夫…
先輩なら大丈夫…
きっと止めてくれる。
先輩頑張って…!!
先輩を見つめてそう強く念じた時
ゴールの前に構える先輩と目が合った…気がした。
先輩は直ぐに相手のキッカーを、強いまなざしで見つめる。
体勢が整い、笛が吹かれ囮が出したボールをキッカーがゴール目掛けて強く蹴る。
宙を進むボール
壁の間を抜けて、カーブしながらゴールに近付く…
バシッッ…