幸せのカタチ~赤い宝物~


ポールギリギリの所で音を立てて先輩の手に当たり


手からこぼれ落ちそうになったボールを、先輩は空中で抱え込んだ。



ドサッ――



ボールを包み込んだ先輩の大きな身体が芝生の上に着いたその瞬間



ピッピーーーッ



試合の終りを告げるホイッスルが鳴り響いた。



ワァッ!!



歓声と同時にチームメイトが溝口先輩に駆け寄って、喜びを分かち合ってる。



「良かったぁ~!
愛果っ良かったねっ!!」


「うんっ!」



私達も2人で抱き合って喜んだ。


今日初めて先輩をカッコイイと思った。



…サッカーしてる時だけ…だけどね。



試合が終り表彰式が始まり新キャプテンでもある藤川先輩が賞状を受け取る。


そして副キャプになった溝口先輩が、トロフィーを受け取り空に掲げた。


すると歓声が湧き上がる。


先輩も嬉しそう。


良かった…


良かったね先輩。


みんなも


おめでとぅ…。




< 32 / 151 >

この作品をシェア

pagetop