幸せのカタチ~赤い宝物~


『もしもし?
愛果?"べつに"ってなんかあった時たろ?』



繋がった瞬間、聞える彰の声。
彰の声は会って話す時よりも、甘く聞えて切なくなる。

私は彰に言われた事が図星でちょっと動揺しそうになった。

けど、平静を装って



「ベツニ、ナニモナイ。」



メールと同じ様に、言う。



『言葉が棒読みなんだけど?』



「ソンナコト、ナイヨ。」



私が答えると、彰はぷっと噴出して
電話の向こうで笑いを堪えてる。



『やっぱり棒読みじゃん。』


そう言った彰の声が、あまりにも甘くて優しい声で


切なくて、思わず泣きそうになった。



『愛果?
愛果の思ってる事、俺にも教えてよ?』



その言葉でポトッと一粒


私の涙が


枕の上に落ちて


小さな染みが出来た。






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