幸せのカタチ~赤い宝物~
「お疲れ様です…。」
「おはよう愛果ちゃん。」
ボトルを運び終え、タオルなどを運ぶのに再び戻った部室…。
3年生のマネージャーの、林せりな先輩が着替えを終えた所だった。
部室の中には、千夏先輩と私と3人だけ。
何とも言えない微妙な空気が流れてる。
「タオル…持って行きますね。
他なんかありますか?」
早く部室を出たくて、千夏先輩が綺麗に畳んだタオルを持ち上げる。
「タオルだけでいいわ。
後は私と千夏で持って行くから。」
せりな先輩は意味ありげに言う。
さっき溝口先輩にボトルを持って貰った時、部室に向うせりな先輩が私の視界の片隅に入ったのはやっぱり間違いじゃ無いと確信した。
「はい。」
私は返事だけして部室を出る。
「普通は私が持って行くとか言うわよね?」
部室の中から、せりな先輩の笑い混りの声が聞えた。
聞える様に言ったのは分かってる。
くそ女っ!
イライラしながらグランドに向って歩いて行く。