幸せのカタチ~赤い宝物~


切った電話がまた音を出して着信を知らせる。


♪♪♪~


その間、私はディスプレイに写し出された


【溝口 彰】


の文字を、ただただ見つめている。


暫くなり続いて


やがて消えた。



ディスプレイの灯も消えて


着信があった事を知らせるLEDのランプだけ点滅を繰り返してる。



それを見ながら、ものすごく空しい気持ちになった。


一回止まりかけた涙が


また溢れてきて


頬を通る涙が冷たくて痒い。


でも拭き取る気にもならず、私は目を閉じた。



しっかり目を閉じると浮かぶあの光景



私の今までで一番キライな



あの光景



閉じた瞼はどんどん重くなって



暗くなって



私を闇の中に、誰かが強く引いてるみたい



早く深く墜ちて行く…






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