幸せのカタチ~赤い宝物~


コートをはおって、マフラーを手に持ったまま靴をはく。


私の後ろでお母さんは、ニッコリしている。



「行ってらっしゃい。」



普段は玄関まで見送ったりしないのに…ってゆうかお母さんも仕事に行く準備はしなくていいの?



「行って来ます。」



それだけ言って玄関を出た。


外には笑顔の彰。


いつの間にか好きになった、濃いくせに爽やかな彰の笑顔。

今日はやたらと、この笑顔が憎く感じる。



きっと私の心の中がモヤモヤしてるから。



「おはよっ。」


「…おはょ。」



私達は並んで歩き出す。


考えて見れば、朝こうやって並んで歩くのは初めてかも。

彰の家は学校の近くで、しかも逆方向だから今まで一緒に行こう何て発想も無かったし
彰はいつも朝練…



朝練?



「彰、朝練は??」



「え…?
行ったよ??」



突然私が声を張ったから彰はちょっと驚いてる。



「行ったの?
…じゃあ何でココにいるの?」



朝練は学校が始まる15分前までやってるはず、終ってみんな滑り込みで教室に入って来るのに。
おかしいじゃん!





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