幸せのカタチ~赤い宝物~
「えっ…?」
「あっ…ごめっ…。」
掴まれた私も、掴んだ伊原君もお互いに目を見合わせて驚いてる。
「ぷっ…あははっ!」
自分達がおかしくて、吹き出しちゃった。
「送って行くよ。
暗くて危ないから。」
「えっでもっ!」
「いいよ。
行くよっ。」
伊原君は笑顔でそう言って先に歩きだした。
私は少し戸惑いながら、でも置いてかれない様に早足で追い付く。
1人で歩いてた時は凄く憂鬱な気分だったけど
伊原君が一緒に歩いてくれたお陰で、なんか気が楽だった。
伊原君にどっちって聞かれて道を教えながら家まで歩く。
その間涙の理由を聞くことなく、伊原君はずっと笑える話をしてくれた。
その気遣いに心が暖まる。
クリスマスイヴの寒い空の下
真っ暗だった私の心に
温い灯を付けてくれた
そんな感じだった。
「ホントありがとう。
パーティ遅れさせちゃったね。
ゴメンね。
気をつけて行ってきてね。」
「いいよっ!
またなっ!!
相談ならまたいつでも乗るからっ、な?」
結局家の前まで送ってくれて、伊原くんにお礼を言って別れた。