幸せのカタチ~赤い宝物~
「何の用だよ?」
「今夜、初詣いこぉよ。」
「何でだよ。」
「だって…一緒に行く相手居ないでしょ?」
楽しそうに言う杉原と、なんだかイライラしている様子の彰。
杉原の言葉に彰は顔をしかめた。
「イヴの夜…キスした仲じゃない。
初詣位、一緒に行ったって良いでしょ…。」
キス…?
イヴの夜…?
まさか、あの日…?
きょ…去年の事だよね…?
杉原が彰の頬に手を伸す
ヤダ…触らないでよ
声にならない声が、心の中でこだましてる。
「アレはお前が一方的っ…」
彰がそう言って杉原の手を払い除けようとした瞬間
杉原は彰に思いっ切り抱き付いた。
「彰っ…私は彰の事だけ、やっぱりずっと好きだよ…。
私じゃダメなの?
私は彰の心も体も全部満たしてあげられるっ。
彰が居ないとダメだよ…。」
彰の胸に顔を埋めて、やっと聞き取れる位の涙声で彰に言った。