幸せのカタチ~赤い宝物~
気がつくと私は木の影から一歩前に出て、2人の前に立っていた。
驚いた顔で私を見て、直ぐに目をそらした彰。
彰に抱き付いたまま、私を見て不敵な笑顔を見せた杉原。
さっきまで感じていた苦しい気持ちはどこかにぶっとんで、もぅ私の中に無かった。
「ホンッッット、サイテー!!!!!!!!!」
代りに今までに感じた事の無い様な、身体の奥から溢れてくる感情がたっぶり詰ったその一言を
彰の目を見て言って
私は背を向けて走り去る。
「愛果っ!!!」
彰が私を呼ぶ声が聞えたけど
2人の居る後ろを振り返る事なく、とにかく走った。
でも追いかけてきた彰に腕を掴まれて引き寄せられた。
目の前に見えるのは、彰が着てる青いジャージの色だけ。
彰に抱き寄せられていた。
その温かさに涙がこぼれそうになる。
でも私は、彰の腕を振り払うのに必死。
今さらこうしても遅いよ、彰
イヴの日にこうしてくれたら良かったのに…
私の体が彰の腕の中を拒絶してる。
だって今さっきまで杉原が頬を寄せてた彰の胸…
そんな所に抱き締められたくないよ。