幸せのカタチ~赤い宝物~
―!??
窓も開いて無いハズなのに、私の頬を風がかすめた。
次の瞬間、溝口先輩の分厚い胸板に私の顔がくっついていた。
一瞬ですっぽりと抱き締められていた。
「…先輩!?」
「俺、諦め無いから。
相田が俺見てくれるまで諦めないからっ!」
先輩は腕を緩めて、私を力強く見つめて優しい笑顔になって
「覚悟しといてね。
じゃっまた明日っ!」
そう言って部室をでて行った。
……。
何なんだ一体?
どんだけ!?
部室で1人方針状態の私。
こんな告白のされ方は初めてだし、こんなに諦め無いのも初めてだった。
普通は『そっか…。』って言って諦めて帰って行く。
私の体にはまだ、先輩の引き締まった体に抱き締められた感覚が残ってる。
顔に触れた硬い胸板の感触が残ってる。
硬いんだな。
男の子って…。
実は男の子に抱き締められたりしたのは初めての私
家には訳あって父が居ない。
だから、今起きた事に驚きすぎて放心状態…。
私と同じ学年の中学入ったばかりの男子とかの体格は、まだ女子とさほど変らない。
1年も経つとこんなに違うのかと、妙に実感した。