幸せのカタチ~赤い宝物~


―!??


窓も開いて無いハズなのに、私の頬を風がかすめた。


次の瞬間、溝口先輩の分厚い胸板に私の顔がくっついていた。

一瞬ですっぽりと抱き締められていた。



「…先輩!?」


「俺、諦め無いから。
相田が俺見てくれるまで諦めないからっ!」



先輩は腕を緩めて、私を力強く見つめて優しい笑顔になって



「覚悟しといてね。
じゃっまた明日っ!」



そう言って部室をでて行った。



……。


何なんだ一体?


どんだけ!?


部室で1人方針状態の私。


こんな告白のされ方は初めてだし、こんなに諦め無いのも初めてだった。



普通は『そっか…。』って言って諦めて帰って行く。



私の体にはまだ、先輩の引き締まった体に抱き締められた感覚が残ってる。


顔に触れた硬い胸板の感触が残ってる。


硬いんだな。


男の子って…。



実は男の子に抱き締められたりしたのは初めての私


家には訳あって父が居ない。

だから、今起きた事に驚きすぎて放心状態…。


私と同じ学年の中学入ったばかりの男子とかの体格は、まだ女子とさほど変らない。


1年も経つとこんなに違うのかと、妙に実感した。




< 9 / 151 >

この作品をシェア

pagetop