【連作】六天ニ散リユク花―交わりの章―
その一言で、若千代と呼ばれた右の少年は、不承不承ながら、刀を鞘に収めた。

「姫丸」

吉法師は、なお、刀を握ったままでこちらを見据える左手の少年に、威圧するような声をかける。

姫丸――なるほど、名の通り、女のように線の細い少年だ。

だが。

一本、強い芯が通っているのは、わかる。
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