【連作】六天ニ散リユク花―交わりの章―
諸勢力が恐れているのは織田の現当主・信秀だ。
だが、真実この乱世の寵児であるのは、むしろ、その子である吉法師。
確信にも似て、玉林は、そう感じていた。
「なれば、王創。此度の生は、そなたの運命も、なまじ捨てたものではあるまい――」
呟きは、風に溶ける。
吉法師と供の二人が駆る、その馬の蹄の音が聞こえなくなるまで、玉林はそれ以上何もいわずに、彼らを見送っていた。
だが、真実この乱世の寵児であるのは、むしろ、その子である吉法師。
確信にも似て、玉林は、そう感じていた。
「なれば、王創。此度の生は、そなたの運命も、なまじ捨てたものではあるまい――」
呟きは、風に溶ける。
吉法師と供の二人が駆る、その馬の蹄の音が聞こえなくなるまで、玉林はそれ以上何もいわずに、彼らを見送っていた。