【連作】六天ニ散リユク花―交わりの章―
「松雪。松雪はいるか!?」

手を打って、傍仕えの少年を呼ぶ。

しばしして、足音軽くやってきた少年は、不機嫌な主の様子に、ひどくあわてた様子で、

「霞丸様、どうかなさいましたか? やはりお加減が優れないのでは……」

ぴたり、と、自分の掌を、霞丸の額に押し付けた。
< 32 / 37 >

この作品をシェア

pagetop