【連作】六天ニ散リユク花―交わりの章―
動きを止めて、しばし。

「おい」

「…………」

「おい」

反応のない松雪に焦れて、霞丸は、彼の腕を少々乱暴に払いのける。

「松雪。私はいたって元気だ。熱など……」

「ええ、熱などはないようですね。安心いたしました」

悪気なく松雪は笑って、ようやく、主の前に座す姿勢を整えた。

「この松に何ぞ御用でしょうか、霞丸様」
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