【連作】六天ニ散リユク花―交わりの章―
そう判断し、霞丸は、


「そうか。知らぬならば、よい」

と、話を打ち切った。

わざわざ春桜衣を着せかけて行ったということは、他出の理由を霞丸に探られたくないということなのだろう。

密の宝貝というだけあって、玉林は、本人が望みさえすれば、すぐ隣にいたとしても常人にはそれと気づかせないこともできる。

それは主である霞丸に対しても例外ではなかった。

その場合、彼の居場所を知りうるのは、彼の六双、兄弟宝貝である六天花をおいて、他にはないのだ。
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