恋口の切りかた
刀丸 の 章
生まれた時代をつまらないと思ったことはあるか?


戦国の世は終わり、
兵どもが夢の跡……

しかし黒船・明治の、
散切り頭や文明開化の音は
まだ遠く……


そんな平和な時代に生まれ、

何かが物足りなかった。

いつも心のどこかが飢えていた。


君と出会うまでは。


君が一番好きだと言った
薄紅色の花が

雪のように舞い散る中、

あの日、あの場所で──

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