恋口の切りかた
「正確には、『あんたも』鵺の一人だろ、狒狒の正慶さんよォ」
円士郎は指を突きつけたままそう言って、
ホホ、と手の甲を口元に当てて、正慶が笑った。
「興味深いお話ですねえ。その推理とやら、聞かせていただきましょうか」
円士郎は自信ありげな笑みを湛えたまま口を開いた。
「大体、一人の人間がそんなに見る者によって姿が変わるってのもおかしな話なんだよなァ。それこそ本物の化け物じゃあるまいし。
ならば──
『鵺』の大親分ってのは、そもそも一人の人間ではなく──数人の人間。
背に同じ真紅の鵺の入れ墨を持つ、複数の人間だって考えるのが妥当だ」
「へえ」と、隼人が少し面白そうな声を出した。
私も成る程、と思って──
「ある者は鵺の大親分ってのは絶世の美女だって言ったそうじゃねェか。
それが、あんただろ。
どうだ? 違うか? 違うってんなら──」
円士郎は義眼の美女を見据えた。
「その背中、今ここで見せてもらおうじゃねえか」
円士郎は指を突きつけたままそう言って、
ホホ、と手の甲を口元に当てて、正慶が笑った。
「興味深いお話ですねえ。その推理とやら、聞かせていただきましょうか」
円士郎は自信ありげな笑みを湛えたまま口を開いた。
「大体、一人の人間がそんなに見る者によって姿が変わるってのもおかしな話なんだよなァ。それこそ本物の化け物じゃあるまいし。
ならば──
『鵺』の大親分ってのは、そもそも一人の人間ではなく──数人の人間。
背に同じ真紅の鵺の入れ墨を持つ、複数の人間だって考えるのが妥当だ」
「へえ」と、隼人が少し面白そうな声を出した。
私も成る程、と思って──
「ある者は鵺の大親分ってのは絶世の美女だって言ったそうじゃねェか。
それが、あんただろ。
どうだ? 違うか? 違うってんなら──」
円士郎は義眼の美女を見据えた。
「その背中、今ここで見せてもらおうじゃねえか」