恋口の切りかた
くくく、望むところだ。

完全に悪役のノリで相手の顔を見て、俺はやや拍子抜けする。


正義の味方のそいつは、ニコニコと人懐こそうに悪役の俺に微笑みかけていた。


「やめなよ」とそいつはくり返して、俺のエモノ二匹を指さした。


「そんな弱いのと戦っても面白くないでしょ」

「はあ?」

「そんなのより、おれとやろうよ」


あんまり正義の味方っぽくないセリフだった。


「誰だてめェ?」

少しとまどいながら俺が言うと、

「トウ丸ぅ~!」と、

弱いの呼ばわりされた目の前のエモノ二匹がさけんだ。

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