恋口の切りかた
【剣】
なんだか腕が痛い。
暗闇の中でぼんやりとそんなことを思って、
私は目を開けた。
橙色の光が飛び込んできて、思わず目を細める。
しかしすぐにそれは、頼りない蝋燭の灯りだということがわかった。
つん、と鼻の奥をほこりっぽい臭いが刺激した。
──ここ……どこ?
視線を巡らせ、身を起こそうとして──
できなかった。
さっきから痛みを主張している左の腕と肩を下にして、私は横向きに転がっていて
両腕は後ろに回されて、動かそうとしてもびくともしない。
ついでに両足もぴったりそろえられたまま固定されているようで、バラバラに動かせなかった。
……なにコレ?
ぽけっと考える。
ここ、屋敷のお布団の中じゃない。
なんで私、こんなことになってるのかな……?